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2021年11月3日(水・祝)7日(日)

《プレアゴラ》10月10日(日)11日(月)

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No.07-D1511月7日(日)15:00~17:00

世界を救う!時差ボケや冬季うつ病に効く分子の研究:既存薬再開発でSDGsを考える

Molecules to save the world from jet lag and seasonal depression!
Sustainable development goals and drug repositioning.

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所
Institute of Transformative Bio-Molecules (WPI-ITbM), Nagoya University

企画概要

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ITbMでは、生き物のもつ仕組みを理解・活用することで、気候変動や健康問題に分子のチカラで解決することに挑んでいます。生命活動に重要な体内時計(概日リズム)は、そのリズムが乱れると身体にさまざまな不調が生じることが知られています。ITbMでは、メダカやマウスを用いてこの仕組みを解明し、時差ボケや冬季うつ病を改善する分子を発見しました。この分子は、すでに臨床で使われている医薬品の中から新たな機能を探る既存薬再開発というアプローチで見つかりました。今回はこの研究を紹介し、体内時計の仕組みを知り、医薬品開発の今後を資源・環境の観点から考え、私たちの未来の生活について参加者と一緒に議論します。

At ITbM, we research and utilize the systems contained within living things, striving to solve modern challenges including climate change and health issues through the power of molecules. It is well known that disruption of the ‘body clock’ (the circadian rhythm) has a number of deleterious effects on health, and at ITbM, we have discovered molecules that work to treat jet lag and seasonal depression in medaka fish and mouse models. These molecules were found through the analysis of existing drugs which are already widely used in other medical treatments. Today we will introduce this area of research and the circadian clock, consider the future of drug development alongside the need to save resources, and discuss with you how our lifestyle could change in the future. 

登壇者プロフィール

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吉村 崇 Yoshimura Takashi

<講演者>

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)・名古屋大学大学院生命農学研究科教授、1999年博士(農学)取得。日本学術振興会特別研究員、名古屋大学農学部助手、同准教授等を経て、2008年より名古屋大学大学院生命農学研究科教授、2013年よりITbM教授、2013年~2019年基礎生物学研究所客員教授。研究キーワード:生物時計、システム生物学、医薬関連分子

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佐藤 綾人 Sato Ayato

<モデレーター>

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)特任准教授

専門:有機合成化学、ケミカルバイオロジー

名古屋大学にて理学博士を取得後、京都大学医学部、京都大学物質-細胞統合システム拠点(WPI-iCeMS)、理化学研究所で博士研究員として分子で生命を制御するケミカルバイオロジー研究を進める。知的探究とその実践がモットー。

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三宅 恵子 Miyake Keiko

<モデレーター>

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)特任講師

専門:植物生態学・サイエンスコミュニケーション

名古屋大学の本研究所で広報・アウトリーチを担当。教育学部出身で修士(教育学:理科教育分野)、その後、植物生態学にはまり博士(理学)を取得。自身の経験を活かして、研究成果や研究所の魅力をわかりやすく伝えるよう奮闘中。

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髙橋 一誠 Takahashi Issey

<デザイン>

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)特任講師

名古屋大学ITbMのサイエンスデザイナー。博士(芸術工学,生体医工学)を取得後、名古屋大学で自動車安全システムの開発研究、筑波大学で複合現実空間での学習システムのデザイン研究に従事。現在は、自身のデザイン経験を活かして、サイエンスを視覚的にわかりやすく魅力的に伝えるよう奮闘中。

プログラム

15:00-15:05

企画説明(三宅恵子)

15:05-15:30

講演(吉村崇)

15:30-16:10

ブレイクアウトルームでのグループディスカッション

16:10-16:25

グループ発表・講演者からのフィードバック

16:25-16:30

まとめ(佐藤綾人)

16:30-17:00

交流会(講演者への質問ルームとおしゃべりルームを設定)

出展レポート

企画概要の補足

私たち生き物は、常に地球の自転と公転の影響を受けており、その変化に対応すべく体内時計を進化させてきました。この企画では、「ライフ」を地球のリズムという抗えない自然の摂理の中での生命活動と再認識し、体内時計、時差ぼけ、冬季うつ病に焦点を当て、未来の社会、生活、科学技術の役割について議論した。
参加者や講演者との対話を促進するため、ブレイクアウトルームを用いたグループディスカッションをプログラムに取り入れた。

セッションで話し合った未来像

生物時計の乱れによる体の不調について
持続可能な未来の薬の開発方法について
生活の中でリポジショニングについて

セッションでの意見、論点

  • 生物時計の乱れによる体の不調については、睡眠覚醒に多くの関心が集まった。また、季節や天候による気分の浮き沈みと体内時計との関連性についての議論もあった。
  • 既存薬再開発のメリット・デメリットについては、メリットの方が多いとの意見が大半であった。しかし、中には薬の効き方が個人で異なる可能性や副作用を心配する意見もあった。
  • リポジショニングを既にあるものの再活用と捉えると、生活の中でリポジショニングできるものがもっとあるのではないか(視点を変えることで新しい機能に気づく)との意見があった。
  • 予想以上にたくさんの意見が出され、時間が足りず、全員の意見をしっかりと拾うところまではいけなかった。各グループの意見の集約方法(可視化する方法)など、今後、見直していきたい。

セッションで出たキーワード

生物時計、リズム現象、時差ボケ、冬季うつ病、分子、既存薬再開発(ドラッグリポジショニング)、睡眠覚醒、薬の開発、コスト、メリット、デメリット、副作用、環境負荷、生活の中のリポジショニング

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